再びカリフォルニア上空を舞う!ソアリンの歴史
2022年3月4日から開催される食の祭典「2022ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・フード&ワイン・フェスティバル」の期間に合わせて、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーで「ソアリン・オーバー・カリフォルニア」が復活。ゴールデンステートと呼ばれ社会的にも文化的にも多様性に富んだカリフォルニア州の名所をハンググライダーで上空散歩する他では体験できないアトラクション。普段見ることのない上空からの視点と臨場感溢れる映像でカリフォルニアの風景を楽しめるだけでなく音や香り、風も加わり、実際に観光している気分の中で今までと違った角度のカリフォルニアを発見できます。
2001年にディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーでデビューしたソアリンのオリジナルバージョン「ソアリン・オーバー・カリフォルニア」は、2016年上海ディズニーランドのオープンを皮切りに現在では世界4ヶ所全てのパークで“アラウンド・ザ・ワールド”バージョンが導入され世界名所巡りが体験できるようになりました。根強いファンの声から度々期間限定で復活する「ソアリン・オーバー・カリフォルニア」から世界で愛される現在の「ソアリン・アラウンド・ザ・ワールド」まで、ソアリンの歴史を振り返ってみたいと思います。
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“ソアリン”年表
ソアリン・オーバー・カリフォルニア | |
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2001年2月8日 | DCA世界初ソアリンがオープン |
2005年5月5日 | EPCOT世界2番目ソアリンがオープン |
2015年5月15日 | DCA外装とプロダクションシステムをアップデートして再オープン |
2016年1月4日 | EPCOTシアター拡張のためクローズ |
2016年5月27日 | EPCOT3つ目のシアターがオープン |
2016年6月15日 | DCAとEPCOT共にアラウンド・ザ・ワールド切り替えのためクローズ |
ソアリン・アラウンド・ザ・ワールド | |
2016年6月16日 | 上海DL世界3番目ソアリン・オーバー・ザ・ホライズンがオープン |
2016年6月17日 | DCAとEPCOT共にソアリン・アラウンド・ザ・ワールド切り替え |
2019年7月23日 | TDS世界4番目ソアリン:ファンタスティック・フライトがオープン |
2019年6月1日 ~8月31日 |
DCAオーバー・カリフォルニアver.が期間限定で復活、6月の1ヶ月間限定予定が人気で延期 |
2020年2月28日 ~3月13日 |
DCAフード&ワイン・フェスティバルに合わせてオーバー・カリフォルニアver.が期間限定で復活するが新型コロナ流行によるパーククローズで早期終了 |
2022年3月4日 ~4月26日 |
DCAフード&ワイン・フェスティバルに合わせてオーバー・カリフォルニアver.が期間限定で復活。 |
オリジナルはオーバー・カリフォルニア
今や世界のディズニーパークで大人気のハンググライダーで疑似飛行が体験できるアトラクション「ソアリン」は、もともと2001年2月8日にディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーのグランドオープンと同時にソアリンのオリジナルバージョンが誕生しました。カリフォルニアの文化や大自然をテーマとしたパークに相応しく、オリジナルバージョンの“オーバー・カリフォルニア”はカリフォルニアの名所を巡る旅が楽しめました。そして、世界のディズニーパークで盛大にお祝いされたカリフォルニア ディズニーランド・リゾート50周年イベントの一環として、イベント開始日当日の2005年5月5日にフロリダ州ウォルト・ディズニー・ワールドのエプコットにソアリンが“オーバー・カリフォルニア”でオープンしました。
エプコットのソアリン
乗り場直前のサイン
乗り場までの通路頭上には雲の様な飾りが。
ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーでは飛行機の格納庫の様な外観に、内部では飛行機の歴史やパイロットの紹介などが展示されているのに対し、エプコットのランド館内にオープンしたソアリンはカリフォルニアへのフライトを提供する空港の様な要素が強くキャストはフライトアテンダントを思わせるコスチュームを着ています。外観や雰囲気が異なるもののどちらのパークでもカリフォルニアを代表する景色が約5分ほどの映像に収められていました。また、シーンに合わせてオレンジ、松、ヤマヨモギ、海の香りや上昇下降などに合わせて風が吹き付けるなどの演出も用意されていました。
このディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーとエプコットの2ヶ所で導入されていた“オーバー・カリフォルニア”は、“アラウンド・ザ・ワールド”に切り替わる前々日の2016年6月15日まで運営されていました。
人気故にシアター追加と海外進出
エプコットではテスト・トラックに並ぶ大人気アトラクションで、日本に比べあまり待たないアメリカのパークでありながらもスタンバイで1時間待ちは当たり前で、それを超えた時間でも不思議ではありませんでした。そんな人気から2016年5月末にはシアターが1つ追加され、合計3つのシアターで待ち時間が軽減されるようになりました。シアターを1つ追加すると言っても、それぞれのシアターには高さ24m程のプロジェクションスクリーンと一度に87名が楽しめるライドが設置されるので、かなり大掛かりな拡張工事だったでしょう。それほどの人気を考えると、アメリカを飛び出して上海ディズニーランドに登場し、オリジナルバージョンのデビューから18年もの歳月を経てもなお東京ディズニーシーにオープンしたことは自然に思えます。まだ歴史の浅い東京ディズニーシーではアトラクション体験後に拍手喝采が起きたなんて出来事はありませんでしたか?アメリカでは未だにその現象が起こることも。
上海から始まった世界旅行
2016年6月16日に上海ディズニーランドのグランドオープンと同時に初めてアメリカ以外のディズニーパークでソアリンが誕生しました。そして、上海ディズニーランドの「ソアリン・オバー・ザ・ホライズン」を先駆けとして世界の絶景を巡る旅“アラウンド・ザ・ワールド”がスタートしました。上海オープンの翌日2016年6月17日にはディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーとエプコットの両方で「ソアリン・アラウンド・ザ・ワールド」へとアップデートされました。そして、2019年7月23日に世界で4番目に誕生した東京ディズニーシーの「ソアリン:ファンタスティック・フライト」では独自のストーリーを展開しつつも同様のアラウンド・ザ・ワールドが受け継がれています。
アップデート後は“アラウンド・ザ・ワールド”の文字が追加(エプコット)
地球の多様性と美しさを
カリフォルニア上空から世界へ飛び出した“アラウンド・ザ・ワールド”では、自然が生み出した驚異から人の手で作り上げた歴史的建造物の美しさまで様々な大陸の絶景を見せてくれます。“オーバー・カリフォルニア”とは異なり、エンディングではそれぞれのパークが映し出されます。また、アメリカや上海ではパークのエンディング直前のシーンにパリの夜景と共にエッフェル塔が現れますが、東京ディズニーシーでは東京の夜景と東京タワーに置き換わっています。
アラウンド・ザ・ワールド
で巡る世界の名所
- マッターホルン
(スイス・イタリア) - アイスフィヨルド
(グリーンランド) - シドニー・ハーバー
(オーストラリア) - ノイシュヴァンシュタイン城
(ドイツ) - キリマンジャロ国立公園
(タンザニア) - 万里の長城
(中国) - ギザの大ピラミッド
(エジプト) - タージ・マハル
(インド) - モニュメント・バレー
(アメリカ) - ラウ諸島
(フィジー) - イグアスの滝
(ブラジル・アルゼンチン)
東京ディズニーシー以外のパーク
東京ディズニーシー
- 東京タワー(日本)
- 東京ディズニーシー
製作の裏側
“アラウンド・ザ・ワールド”がデビューする直前にはウォルト・ディズニー・イマジニアリングの担当者が制作秘話を語った動画(英語)をDisney Parks公式チャンネルで公開しています。モニュメント・バレーの岩山や万里の長城のシーンでは「もう少し足を延ばせば届きそう」と思わせる映像の臨場感とコントロールされた風が顔に吹き付けた瞬間などがソアリンにしかできない没入感を創り出していることを語っています。解説が英語であることはさて置き、実際に現地でどのように撮影したかがうかがえるので見物です。
受け継がれし音楽
“アラウンド・ザ・ワールド”でもモチーフがしっかりと伝承されているソアリンの音楽は、作曲家で指揮者の故ジェリー・ゴールドスミスさんがオリジナルバージョンを作曲しました。アカデミー作曲賞の受賞歴もあるジェリーさんはアメリカの映画やテレビの音楽を多数手掛けており、ディズニーでは『ムーラン』を担当。そしてジェリーさん亡き後の“アラウンド・ザ・ワールド”へのアップデート時には、作曲家のブルース・ブロートンさんがオリジナルバージョンへの敬意を払いつつモチーフを残す形で編曲。世界の名所に合わせて、それぞれの国の伝統楽器や調子を採用しています。ブルース・ブロートンさんは東京ディズニーランドにあったアトラクション「ビジョナリアム」の音楽を作曲しており、現在もトゥモローランドのBGMとして使用されています。
ジェリー・ゴールドスミスさんのホームページによると、ジェリーさんが初めてソアリンを体験し降りて来た時には涙を浮かべていたそうです。ジェリーさんが生涯で愛したことは“音楽”と“飛ぶこと”の2つで、幼少期の頃に父親とグライダーに乗った思い出が残っていました。そして「このプロジェクトのためなら何でもする。タダで曲を書いてもいい。」と言ったとか。
そんなジェリーさんが書いたソアリンの音楽は、過去に出されたディズニーランド・リゾートやウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのサウンドトラックCDなどに納められています。低音弦楽器のクレッシェンドと共にグライダーが上昇し、ファンファーレが鳴り響くと曇の合間からゴールデン・ゲートブリッジが堂々と現れる…音楽を聴くと“オーバー・カリフォルニア”の情景が浮かんでくるようです。